小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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東日本大震災と小売業の対応
 こんなことがあるのかと思わずにはいられないような恐ろしい災害でした。しばらく茫然自失状態で、何もかも手に付かず、ブログも更新しないままになってしまいました。最近、復興の声が聞こえてくるようになって、書かなければいけないという気持ちが起きてきました。「時間は、すべてを癒してくれる」と言っても被災地の人たちにとっては、そんなに簡単なものではないでしょう。でも、この困難を乗り越えて強く生き抜いて欲しいと思っております。少しでも早く普通の生活に戻れることを心から祈っております。

 今回の東日本大震災は、被害が広範にわたっている事が一番の特徴でした。地震も大きなものでしたが、その後の津波は、言葉を絶するような大被害をもたらしました。それに、さらに福島原発の事故が加わってしまいました。その3つが、足し算ではなく掛け算になって被害を拡大したのですから、これほど恐ろしいことはありません。小売業の被害も大きなものでした。震災2日後のダイエー仙台店、28日に24時間営業を始めた西友の12店舗、31日に営業再開したイオン石巻、と頑張ってはいるもののコンビニも含めて、再開したのはまだ半分位にしかすぎないようです。

 こうした時は、早く店舗を開けることが小売業の重要な役割です。戦後の焼け野原にいち早く開店した岡田屋(イオンの前身)や伊勢湾台風の後、水に漬かった衣類をただ同然の値段で販売した西川屋(ユニーの前身)などお客に喜ばれた例は、枚挙にいとまがありません。今回のダイエー仙台店は、阪神大震災の教訓を生かして2日目に開店にこぎつけましたが、お客は大変喜んでいたということです。しかし、それでも商品が間に合わず、棚はがらがら、という状態は如何ともしがたいようでした。

 店舗を再開するためには、確立すべきことが4つあります。①店舗、②商品、③人、④物流です。店舗は、今回壊滅的な打撃を受けました。津波で跡形も無く流されてしまったところも多くありました。しかし、テントを張ったり、店舗の前で販売したり頑張ったところもありました。茨城県にあるケーヨー(ホームセンター)では、店舗の前で緊急商品(電池やガスボンベなど災害用の商品)だけを販売していました。店内は、商品棚が倒れ、お客の安全が確保できないために立ち入り禁止、ということでした。

 商品は、産地やメーカーが大きな打撃を受けたために入手困難になっています。特に被災地の断水に放射能汚染まで加わって需要が増大した飲料水やカップ麺のようなインスタント食品、それに納豆や豆腐などの日配品、乾電池、ガスボンベなどが、間に合いません。さらに被害の無かった地域でも買占めがあって一層の不足を生じました。店は開けても棚は空では再開したことにはなりません。イオンなどでは、ミネラルウォーターをフランスや韓国、カナダから、たまねぎとにんじんをオーストラリアから、ツナ缶をタイから急遽輸入することにしました。

 人の問題はもっと深刻です。販売員がいなければ店は開けませんが、その販売する人自体が被災してしまったのです。今回は、被災どころではありません。身内の人を亡くしたり、本人自体が犠牲になったりしているのです。ダイエーは、阪神・淡路大震災の教訓を生かして、マニアルを作っていました。まず12日の夕方には、人事部の3人が先乗りし、後を追って60人の社員がバスで仙台店に向かったのです。12日には商品も千葉県の倉庫などからトラックで運び、13日には再オープンにこぎつけました。

 物流網が完全に断たれてしまったのは、致命的でした。鉄道も道路も、港も空港もやられてしまいました。仙台のような大都市はまだよかったのですが、太平洋側の町や村、山側でも小さな町や村が物流網を断たれました。さらに最近の流通業は、できるだけ在庫を減らして新鮮なものを提供する仕組みになっています。これがもの不足に拍車を掛けたといえます。店舗は、ぎりぎりの在庫しか持っていません。もし足りなくなれば物流センターから運びますが、センターも余分に持っているわけではありません。今回のような大震災を想定しているわけではないのです。さらに、今回は物流センターも津波に流されて使えなくなりました。

 物流については、今回2つのことが教訓に挙げられます。一つは、運搬手段です。既存の運搬手段だけでなく、緊急の手段といったものも取れるように考えておきべきでしょう。例えば、通常はトラック便が多くなるでしょうが、船や飛行機などを飛ばすなど臨機応変な対応が必要です。もう一つは、商品補給の仕組みです。通常は物流センターから店舗へ配送しますが、被害を受けていない近くの店舗から被災地の店舗へ送る、といった仕組みです。物流センターが機能しなくなった今回のような場合は、特にそうです。店舗網で被災地の店舗を支えていくのです。

 もちろん、お客が安心・安全に買物するためには、電気、ガス、水道などのインフラが復活しなければなりません。上記の4つの事項は、あくまでも取りあえずのことでしかありません。しかし、それでも一刻でも早く、商品を届けることが重要なのです。少し落ち着いた時点で再度物流を見直してみる必要があるようです。いずれにしても一刻も早く被災地が普段の生活を取り戻せるよう心から祈っております。
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