小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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ホームセンターの需要創造能力への期待
HCのパイオニアの一つケーヨー

 ホームセンター(HC)というフォーマットをご存知でしょうか。郊外に住んでいる人は、知っている、利用したことがあると答えるのですが、都心に住んでいる人は、知らない人が多いのです。その原因は、ライフスタイルの違いにあると思っています。HCで扱われている商品の主力は、家の改善・修理に必要な道具や材料、庭の花や土・肥料といったものです。都心では、庭のある一戸建てに住むのは大変ですし、マンションなどに住んだら、そうした作業はほとんど不必要です。逆に、郊外に住むと家や庭のメンテナンスが出来なければ生活できません。どちらを選ぶのか、ライフスタイルの選択肢になってくるのです。

 HCの歴史は、戦後の英国に始まります。第二次世界大戦は、英国の町を焼け野原にし、その復興のためには多くの職人が必要だったのです。ところが、人手不足は如何ともし難いものでした。そこで「DIY(ドゥ・イット・ユアセルフ)」という消費者運動が起きます。つまり、職人に頼むのではなく、自分自身の力でやろうということです。その運動を推進するためには道具と材料を一緒に販売する店舗が必要になります。そこで生まれたのがHCの原型なのです。その後HCは、フランス、ドイツなどヨーロッパ中に広がります。

 アメリカにはカナダから上陸しました。戦後のアメリカでは、やはり復員兵のために急速に住宅を増やすことが必要になっていました。そして職人の不足が深刻になっていたのです。職人に頼んでも時間が掛かるし、コストもばかにならない、ということでHCに対するニーズが高まっていたのです。アメリカには、すでにチェーンストア方式というものが確立されていました。ヨーロッパで生まれたHCというビジネスが、チェーンストアに出会ったことで急速に大衆化がなされ、一つの産業として確立することになっていくのです。

 日本では、オイルショックがHC誕生の引き金となりました。オイルショック以降の経営環境に不安を抱いていた人たちが、アメリカの流通を視察し、HCに出会ったのです。時あたかも車社会に突入し始めたときでもありました。そんなとき経営者たちはアメリカのロードサイド(道路沿い)にさまざまなフォーマットを発見します。その一つがHCだったのです。日本における1号店は、1972年にオープンしたドイト与野店といわれています。続いて73年にはケーヨーとカーマがオープンします。ちなみにドイトは、埼玉のタクシー会社、ケーヨーは千葉のガソリンスタンド会社、カーマが愛知の薬局経営者が共同で始めた企業です。しかし、現在ドイトは、ドン・キホーテの傘下に、カーマは、ダイキ、ホーマックと合併してDCMジャパン・ホールディングになりました。単独で残っているのはケーヨーだけです。

 日本のHCは、70年には120店舗、720億円でしたが、80年には2250店舗、2兆500億円と店舗数で約20倍、売上高で約30倍に成長しました。さらに2005年には、売上高3兆9880億円と4兆円に近づきましたが、これをピークにじわじわと下がっているというのが現状です。原因には、さまざまなことが考えられます。一つは、住宅不況です。サブプライム・ローンの破綻は、その傾向を顕著にしましたが、それ以前から郊外一戸建ての需要は、少しずつ弱まっていました。第二の要因は、他のフォーマットとのマーケットの奪い合いです。薬と化粧品という強力な商品を持つドラッグストアや、ダイソーを初めとする百円ショップの拡大、総合スーパーの低価格戦略など競争環境は厳しさを増すばかりです。

 アメリカでは、エンジェルス、ハンディマン、リッケルなど一時メーカー系列のHCが各地に出現しましたが、1957年にWRグレイスに統合されていきます。化学メーカー系列のWRグレイスは、それによって1400店近くを経営することになりますが、86年には全てを売却してしまいます。売却の原因は、当時急速成長していたホーム・デポの存在です。既存のHCの倍以上の売場面積と4倍からの扱い商品、さらに充実したサービスでお客を集めていたホーム・デポには、とても敵わないと、早めに見切りをつけたのです。確かにホーム・デポは、その後HC業界を完全に制覇することになりました。
アメリカHC業界を席巻したホーム・デポ

 ホーム・デポは、現在約7兆円からの売上高がありますが、その売上高は他店のシェアを奪っただけではありません。消費需要を掘り起こしたことが大きな要因となっています。アメリカのHCマーケットは、ホーム・デポが登場する以前と以後ではまったく違います。ホーム・デポの出現によって、マーケットは2倍以上に拡大しているのです。ヨーロッパのマーケットも確実に広がっています。日本でもこのマーケットでは、埋もれているものがまだまだたくさんあると思われます。その意味では、HCの拡大は、これからも可能性があると言えるでしょう。
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