小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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車社会とショッピングセンター②コミュニティの柱となる
車社会②
 SCには、競争という問題が待っています。自由主義である以上競争はやむ終えないことです。小さなコミュニティには、大きなSC1つで、十分ではないかという考えもありますが、消費者の選択肢が無くなってしまうのです。例えば、核店がイトーヨーカドーだけ、ということであったらどうでしょうか。その地域では、イトーヨーカドーだけで消費生活を送ると言う話になります。もちろんSC内で専門店との競争もありますが、ある意味独占状態です。そこで、同パターンのSCが2ないし3ヵ所生まれることになります。

 車社会では、距離の便利(コンビニエンス)性といったものは有効な武器ではありません。近くにあるか、遠くにあるかはあまり問題にならないのです。なぜならば、どこへ行くにもとにかく車を使ってということになるので、距離はあまり気にならないのです。距離よりも頭に浮かぶのは道路が広い、直線が多い、信号が少ない、交通量が少ない、大型トラックなど走っていないなどです。だから、目指すSCは、家を出て車に乗ったときにすでに決まっている、といわれるのです。

 お客がSCを選ぶ大きな要因は、何と言っても核店とテナントの魅力です。SC側から見れば、他のSCとの差別化ということになります。どんな核店とテナントが入っているかが重要なのです。この場合、2つの側面があります。1つは、お気に入りのお店が入っているということです。お客が、どうしてもこの店でなければ、というのはもっとも有効な武器になります。もう一つは、選択の密度が濃いか薄いかということです。単にテナントの数が多いというのではなく、選択肢がどれだけ揃っているかと言うことです。アパレル関係のテナントは何店か、雑貨関係のテナントは何店か。さらにTPOS(時・場所・場合・スタイル)別にどれだけテナントが揃っているかということです。

 TPOSとは、用途が何なのか、ということです。つまり「時」とは、いつ使うものか、ということです。例えば、食器は食事のときに使います。「場所」とは、どこで使うものか、ということです。例えば、歯ブラシは洗面所で使います。「場合」とは、どんな機会に使うものか、ということです。例えば、黒いネクタイはお葬式のときに使います。「スタイル」とは、どんな形態のものか、といったことです。例えば、トラデショナル調とか、カントリー調とかということです。こうしたカテゴリーのなかに選択肢が豊富に揃っていることが、お客の魅力になるのです。テナント数が多くとも同じようなテナントであれば、何の意味もありません。ですから、いつも売れ筋を追いかける土産物屋ではなく、コンセプトのしっかりしたテナントが揃っていることが必要なのです。

 お客は、アパレル関係のものが買いたいときには、アパレルの選択肢の豊富なSCを目指しますし、雑貨関係のものが買いたいときには、雑貨の選択肢の豊富なSCを目指すことになります。SCを選ぶ要因は、そのSCのテナントだけではありません。その近くにどんな店舗があるか、ということも重要です。つまり、住まい関係の買物がしたいとき、近くにホームセンターがあれば、そこも選択肢の一つになるのです。家電店やスポーツ店なども同じです。それが一ヵ所に集まっていれば、一番良いでしょうが、そうでなければ方向が重要になります。どちらの方向に行けば、SC以外にも選択肢があるかということです。車といっても方向を代えることは、めったにあることではありません。かえって車だからついでに、一度に、買物を済ませたいと思うのです。

 さらに細かなことを指摘すれば、主要道路の左側に在るか、右側に在るか、ということも重要です。あまり運転の上手くない人には、右折は嫌なことです。幹線道路でトラックがスピードを出すような道路は、なおさらです。少子高齢化や地方分権が叫ばれるなか、これからコミュニティづくりは重要になると思われます。コミュニティと車との機能的なつながりをもっと研究する必要がありそうです。
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