小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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楽器店ナンバー・ワンの島村楽器社長にお会いしました
久し振りに島村楽器の島村元紹社長にお会いしました。70歳を越えているとはとても思えないほどお元気そうで、若々しく見えます。今年は、前半から出店が立て込んでいるそうで、この5月にも東京都・町田、福岡の2カ所に出店があるということでした。大型ショッピングセンター(SC)は、「まちづくり3法」の兼ね合いもあって駆け込みでのオープンが続いているのです。

 初めて島村社長にお会いしたのは、29年前の1979年のことでした。社長が商業界のアメリカ視察セミナーに参加されたのです。参加申込みが締め切り後であったこともあって事務局として添乗していた私と同室ということになりました。8泊10日の旅程でしたが、その間いろいろのことを話し合いました。一つは、島村楽器が扱っていたピアノが売れなくなったらどうするのかということ。一つは、メーカーに丸抱えされている経営では、成長は難しいということ。当時島村楽器は、あるメーカーのピアノを専門に販売する代理店のような存在でした。などなど、今となってはそんな話をしただろうか、と思うところですが、社長はしたと言われるのです。

 社長は、アメリカ視察から帰った翌年、商業界リテイル・マネジメントスクール(RMS)第4期に入られました。1年間みっちりと小売業経営の勉強をした後、82年には、ジャスコ(現イオン)が葛西にオープンしたショッピングセンター(SC)に出店します。島村楽器にとっては初めてのSC出店で、教室を設けて余った面積にギターなどの小物楽器を並べるという試みをします。これが現在への大きな転換点になるのです。

 ジャスコのSC拡大戦略もあって、島村楽器の出店は続きます。さらに評判を聞きつけた他のSCからも声が掛かるようになります。現在では全国約95カ所、おおよそ三分の一がイオン、その他パルコ、ラフォーレ、ララポート、オーパ、ゆめタウンなど多くのSCに出店しています。教室も含めて1カ所の面積が約350坪という大きな店舗も出現しました。1号店から見ると3.5倍の拡大です。売上高も約250億円と楽器業界ではナンバー1の規模を誇っています。今ではコンサートや音楽ツアーを企画したり、音楽活動のスポンサーになったり、2003年には「代官山音楽院」という学校まで開校しています。

島村楽器は、4つの目標を上げています。その4つとは、1.音楽をトータルに扱い、ソフトと運営ノウハウの開発と蓄積を行う。2.顧客に喜ばれる高付加価値と位相差のある質の高いサービスを提供し、顧客にとって絶対必要な存在となる。3.単に利益を上げることでなく、企業として永続発展を可能にする力をつけること。4.人材の育成。つまり、単に楽器を売って儲けるということではなく、音楽を楽しむ人を増やし、その結果として企業を存続していくということです。

島村楽器の経営は、需要を創造することで成り立っています。「企業とは需要創造するものである」とは、ドラッガーの言葉ですが、まさにその通りです。教室とスタジオ、楽器販売、コンサートなども組み合わせて音楽需要を創り出しているのです。単に物を売っているのでは必ず飽和状態が来ます。そこから新規のお客を創り、既存のお客には上級の物を楽しんでもらう、ということが成長には重要になるのです。実際、業績は毎年伸びています。こんな厳しい時代であっても、確実に成長しているのです。固定客もしっかり掴んでいるので、SCにも喜ばれているようです。島村楽器が、今一番力を入れているのが、人財育成です。物を売る人ではなく、音楽ファンを増やす人を育成しているのです。今では入社希望者のほとんどが、音楽の好きな人ということです。このビジネスモデルは、これからも有功です。
ますますお元気な島村元紹社長
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