小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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ウォルマートのハイランド・ビレッジ店は、“生活の質”に目を向けている
図1ハイランド・ビレッジ店レイアウト

 ウォルマートのハイランド・ビレッジ店は、スーパーセンターのフォーマットですが、店舗の中は既成タイプとは一変しています。図①は、そのレイアウトを簡単に示したものです。まず、入口は2カ所あります。既存のタイプも2カ所ですが、ご覧のように意味合いはまったく違います。既存タイプは、右手の主通路に通じるものが入口で、もう一つの左側は、出口の位置づけです。なぜならば、突き当たりがお菓子と宝石に挟まれたサブ通路だからです。一方、ハイランド・ビレッジ店は、右はファッションとホームの間の主通路に、左は食品とファッションの間の主通路にと、主通路に続いているのです。どちらも売場の奥に導入する入口の役割を持っていると言えるのです。

 入口からの主通路によって、食品関係、ファッション関係、ホーム関係というようにゾーンが明確に分かれています。買物の目的によって、買いやすい売場になっていると言えます。売場は、ペット・靴・家電・玩具など、それぞれショップ形式で明確になっています。バイク・ショップなどは、入口がもう一つ設けられているほどです。この地区には、バイク専用の道路があって、それがショップの充実につながっているということです。ウォルマートの店舗に続く専用道路をウォルマートは市と協力して舗装したという話もあります。

 各ショップは、短いゴンドラを使って、回り込まなくても他の売場に行けるようになっています。売場の配置についても既存タイプとはかなりの違いが見られます。既存タイプでは、レジの内側にあったデリ・ベーカリーの売場は、ハイランド・ビレッジでは入口の前に設けられました。それもショー・ケースを前面に並べたサークル型売場です。高級スーパー並の売場づくりです。主通路を挟んで向かい側にはダンキンドーナッツが導入されています。ミール・ソルーションに対するウォルマートの答えがこの売場に現れていると言えるでしょう。

 また、薬・化粧品が食品の向かい側に設けられています。既存タイプでは、ホーム関連のゾーンにあったものが、食品側に変わったのです。ゾーンとしてはファッションなのですが、壁面を利用して作られていたファーマシィの売場は、ゾーンの中に移されたのです。宝石売場もファッション売場と関連が強くなりました。これまでは、チェックアウトの前面にお菓子・副通路・宝石・副通路・レディス・ウエアと並んでいたのですが、ハイランド・ビレッジでは、チェックアウトの前であることは変わりませんが、ファッション売場の真ん中に入っているのです。商品のグルーピングを意識して、売場のレイアウトを考えていることが分かります。安いから、どんなレイアウトでも良いといったこれまでの考えとは明らかに違ってきているのです。

 もう一つの大きな変化は、店内のテレビジョンネットワークが見られないことです。レジや主通路の上にモニターを設置して売場の案内や新製品の宣伝をしたりしていましたが、ハイランド・ビレッジ店では、家電売場にある大きな画面のテレビ・モニターを除いて、売場には一切無くしています。売場に静かな雰囲気を出そうというのが、店のコンセプトのようです。その代わり、売場の表示はきちんとされています。並んでいる商品だけでも十分に分かるのですが、大きな看板と小さなPOPを使って、きれいに表示されています。特に価格の表示は、控えめです。ウォルマートと言えば、価格が一番にくるのですが、それが控え目なのです。

 こうした現象は、“アップスケール”と言われています。“アップスケール”とは、簡単に言えば生活の質向上を目指して売場を変えることです。単に商品を販売すると言うのではなく、生活の局面に目を向け、それに対する提案をしていくということです。“物から事へ”といったこともその一つです。ところが、ウォルマートでは、“アップスケール”を否定しています。つまり、この方向を拡大するつもりはないようです。あくまでも地域のお客のニーズとウォンツに対応するため、というコメントを出しています。2006年のデータで1980店舗あるスーパーセンターのすべてを“アップスケール”することは、とても無理なことです。従って、前述のようなコメントになるのでしょうが、逆に、それだけのチェーンが、地域のお客に対応するために特別に店舗を作ってしまうというのは驚きです。ただ、ハイランド・ビレッジには、日本の店舗のノウハウが生かされているように思われます。
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