小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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世界一小売企業ウォルマート、269店舗閉鎖の意味

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エクスプレスは完全撤退
 世界一の小売業、ウォルマートが今年に入って、全世界で269店舗を閉鎖すると発表しました。内訳はアメリカ国内でエクスプレスと呼ばれる小型店舗の102店舗を含む154店舗、ネバーフットマーケット業態の23店舗、スーパーセンター業態の12店舗、ディスカウントセンター業態の6店舗、サムズクラブ業態の4店舗、それにプエルトリコで展開している7店舗の269店舗です。

 もっとも閉鎖の多いウォルマート・エクスプレスは、都市部の顧客を拡げようと2011年から出店を始めたグループのなかでは最新の実験店舗でした。平均1万2000平方フィート(約1114平方㍍)の規模で、生鮮を含む食品の他、日用品、薬などを扱かっています。5年間でエクスプレスを含めて102店舗ですから、出店スピードは遅々としたものです。今回の閉鎖で、この規模の小型店は実験終了と言うことになります。

 ネバーフットマーケットは、1998年から展開し始めた業態で、およそ3万8000平方フィート(約3500平方㍍)の規模で生鮮を含む食品、日配品、雑貨、化粧品、薬などを扱う店舗です。ウォルマートは、このネバーフットマーケットを基準に、これ以下の規模の店舗をスモール・ストアと位置付けています。エクスプレスもこの中に含まれていました。2015年のアニュアル・レポートでは、スモール・ストアは41店舗、ネバーフットマーケットは698店舗がそれぞれ全米に展開されていました。


ネバフットマーケット
閉鎖は全ての業態に及んでいる
 スーパーセンターは、1988年から展開を始めた店舗です。およそ18万2000平方フィート(約1万7000平方㍍)に生鮮を含む食品とパン、デリ、日配品、家電、服、玩具、ホームファニシングなど、暮らしに必要な商品を一度に一か所で購入できる店舗です。その他、銀行、美容院、ネールサロン、レストラン、メガネ店などのテナントも入っています。店舗のほとんどが24時間営業です。ウォルマートが世界一の小売業になった原動力の店舗と言えます。2015年のアニュアル・レポートでは、3466店舗が全米に展開されています。

 ディスカウントセンターは、ウォルマートの原点となった業態です。1962年に創業者のサム・ウォルトンによってアーカンソーのロジャーに1号店がオープンしました。ディスカウントセンターは、スーパーセンターより小さい10万6000平方フィート(約9900平方㍍)の売場面積に家電、玩具、服、ホームファニシング、健康・美容商品、ハードウエア、園芸用品などを扱っています。2015年のアニュアル・レポートでは全米に449店舗が展開されています。今ウォルマートで主力になっているスーパーセンターは、このディスカウントセンターに大型のスーパーマーケットを組み合わせて、日常の買物をすべて一か所で出来るようにした業態なのです。

 サムズクラブは、メンバーシップ・ホールセールクラブ(会員制倉庫販売)の業態です。1983年にレストランや小売店を営んでいる小規模ビジネスのオーナーを応援しようと創業者のサム・ウォルトン氏が創りました。日本でも同じ業態でコストコが、すでに上陸しています。実は、この業態はコストコの方が元祖になります。この業態の原型は、1976年にソル・プライス氏がサンディエゴに創ったプライスクラブです。サムズクラブは、その後を追って創られました。その後、プライスクラブは、1993年に同業であったシアトルのコストコと合併し、現在のコストコとなったのです。店舗数はサムズクラブの方が約3倍多いのですが(コストコ206店)、パイオニアのコストコがこの業態では先行しています。2015年のアニュアル・レポートでは、平均13万4000平方フィート(約1万2500平方㍍)のサムズクラブを全米に655店展開しています。

さむず2

次年度は同じ数の店舗を計画
 米国外での店舗閉鎖については、ブラジルの不採算店の60店舗と他の南米地域の55店舗、合計115店舗を閉鎖するとしています。ブラジルには2015年度559店舗が出店しており、それ以外の南米地域にも3500余りの店舗があります。店舗閉鎖は、世界中の売場面積の1%にもならない、とウォルマートでは語っています。店舗閉鎖という悪い話ばかりではありません。新規出店も同時に発表しています。次年度に米国内ではスーパーセンターを50~60店、ネバーフットマーケットを85~95店、サムズクラブを10店、合計145~165店舗を国内に、国際的には200~240店をオープンする予定としています。

 ウォルマートは今回の店舗閉鎖について「収益性や企業の長期戦略複数の要素を踏まえた」と説明しています。収益性ということでは、小型店のエクスプレスは完全撤退したものの、ネバーフットマーケットは堅調に推移しています。昨年の5~7月の売上高で見ても既存店売上高は、米国ウォルマート全体で1.5%に過ぎなかったのに対して7.3%の増加となっています。つまり、小型店でもある程度の規模がないと利益を十分に上げることが難しい、ということでしょう。


再びウォルマートは復活するか
 ウォルマートの昨年5~7月期の決算は、純利益が前年対比で15%減となっています。ウォルマートは、この業績悪化の主要因を2つ上げています。1つは、ドル高の影響で海外の売上が落ち込んだこと。もう一つは、従業員の賃上げなど顧客サービス向上の取り組みが重荷になったことです。この苦境を乗り切る今後の戦略としてウォルマートは、最低賃金の引き上げや店舗の商品部門マネジャーの増員などによる顧客対応強化、を挙げています。いずれにしても売上が国内、国外で思うように上がらない中、新たな投資が必要になっているようです。そのためウォルマートは、2016年度の通期見通しを下方修正しました。世界の経済情勢を占う意味でもウォルマートの動向に注意が必要です。
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