小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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ダラー・ツリーがファミリー・ダラーを飲み込み、トップに!
ダラーツリー
 アメリカ小売業界にまたまた激震が起きています。7月28日にバラエティ・ストア(VS)3位のダラー・ツリーが2位のファミリー・ダラーを買収すると発表しました。現在VS企業の1位は、全米小売業売上高ランキング25位のダラー・ジェネラル、2位が同40位のファミリー・ダラー、3位が54位のダラー・ツリー、4位が99セント・オンリーストアとなっているのですが、その3位が2位を吸収するというのです。ダラー・ツリーの売上高(2013年度)は、約77億㌦(約7700億円)、ファミリー・ダラーは、約104億㌦(約1兆400億円)ですので、単純に合計すると181億㌦(1兆8、100億円)になります。1位のダラー・ジェネラルが約175億㌦(約1兆7500億円)ですから、それを上回る企業となります。

 ダラー・ツリーの買収は、約85億㌦(約8500億円)に匹敵する現金と株の交換によるものです。新聞記事によりますと、7月25日の終値に22.8%のプレミアムを付けて1株74㌦50(約7、450円)の値になるということです。内訳は、現金で1株59㌦60とダラー・ツリーの株14㌦90とのことです。合併するとアメリカ48州とカナダの5つの州に1万3000店を超える店舗を展開し、14万5000人の従業員を持つことになります。ファミリー・ダラーは、業績悪化でこの間リストラを進めていましたが、株式の9.4%を握る投資家のカール・アイカーン氏が7月初め、同社の身売りを迫り新たな取締役を送り込む構えを見せていました。

ダラージェネラル (2)
 バラエティ・ストア(VS)というフォーマットのパイオニアは、1879年にペンシルバニア州ランカスターに誕生したウールワースです。「5&10セントストア」という価格帯を絞った店舗で、日常生活に必要な、食品以外の様々な商品を扱ってお客の支持を得ました。ウールワースは、次第に店舗を増やし、チェーン化を図ったのでチェーンストアのパイオニアともいわれています。その創業者であるフランク・ウルワース氏は、来日して講演を行ったこともあります。VSが衰退したのは、ディスカウントストア(DS)の台頭によるものでした。DSは、VSが扱っていた主要な商品を取り込んで、新たに家電や家具のような日常生活に必要な商品を低価格で扱ったのです。

 ディスカウントストア(DS)のチェーン化に成功したのは、Kマートです。ところがKマートの前身は、クレスゲというVSでした。郊外化が始まったアメリカで、VSの凋落を見越してクレスゲの役員であったカニンガム氏がKマートという新たなフォーマットを開発したのです。現在、世界一の小売企業となったウォルマートもその全身は、ベン・フランクリンというVSでした。VSのパイオニアであったウールワースもウールコというDSを始めるのですが、すでに手遅れで失敗に終わってしまいました。ウールワースが倒産したのは、この失敗の影響が大きかったようです。いずれにしても、アメリカ小売業史の中でVSは大きな意味を持っているのです。

familydollar.jpg
 バラエティ・ストア(VS)チェーンで現在、生き残っているのが1939年テネシー州スコッツビルで創業したダラー・ジェネラルと1959年ノースカロライナ州マシューで創業したファミリー・ダラーの2社です。ダラーの名が付いているように当初は、1ドル価格を主に扱っていましたが、現在は複数の価格帯で、一部生鮮食品なども扱っています。店舗は小さいのですが、生活に必要とされるものが揃っています。しかし、どれも間に合わせ的なものばかりです。例えば、フォークやスプーンは、直ぐ曲がってしまうようなアルミで作られ、お皿は、紙やプラスチックで作られたものです。ウールワースがまだ健在だった時には、ダンボール製の旅行ケースが売られていました。つまり必要な生活機能は、何とか賄うことが出来るようにするのが、VSのコンセプトなのです。

 利用するお客は、低所得の人たちです。ウォルマートやKマートといったDSより、同じ機能のものであれば、一層低価格で販売しています。単品を大量に自主生産し、どのフォーマットよりも安く販売するという、伝統的なVSの手法を実行しているのです。ところが最近では、1986年バージニア州チェサピークで創業したダラー・ツリーや1982年カリフォルニア州コマースで創業した99セント・オンリーストアといった新しい企業が登場しました。

 日本でもダイソーやセリア、キャンドゥといった100円ショップが存在を認められるまでになっていますが、アメリカでも同じようなコンセプトの店舗が急成長を果たしているのです。新・旧の大きな違いは、新の方は、低所得者に限らないということです。旧の方は複数の価格帯で、低所得者が多い地域に出店していたのですが、新は、均一価格で新興住宅地の近隣型ショッピングセンターなどに出店しています。扱い商品の品質も旧よりも良くなっています。高所得者であっても便利に利用しているのです。

99ストア
 VSチェーンの最大の特徴は、店舗数が多いことです。ダラー・ジェネラルが1万1、132店(2013年度以下同)、ファミリー・ダラーが7,916店、ダラー・ツリーが4、812店、99セント・オンリーストアが316店です。最大の小売企業ウォルマートが4,779店、ドラッグストアのナンバー1企業ウォルグリーンでも7,998店、ドラッグ業界大手3社の店舗を足してもVSに追い付かないということですから、いかに多いかが分かります。低価格のフォーマットでは、大量販売が必要です。そのためには店舗数が重要になるのです。

 ダラー・ツリーとファミリー・ダラーを比べてみると、どちらも250坪から300坪の小型店舗ですが、ツリーは、約6000品目を均一価格で扱い、ダラーは約5000品目を複数価格で扱っています。この違いは、立地から来ていると思われます。ダラーは、都心の低所得者の多い地域や田舎町にあるのに対して、ツリーは幅の広い中所得者の多い郊外のショッピングセンターにあるのです。ダラーは、小商圏ですから価格帯を多くしなければ売上げが上がりません。その代わり扱い品目は絞っています。ツリーは、商圏が広いので品目数を多くしても均一価格で採算が合うのです。合併後は、それぞれの店名を生かして経営を続けていくとのことですが、この違いをどう克服するかが大きな課題になると思われます。リーマンショック後、価格志向の強くなった消費者にVSは、再び注目を集めているのです。
 
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