小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
アルバートソンがセーフウェイを飲み込む勝算は?
Apr06#01アルバートソン (2)
 79年度米国スーパーマーケットのランキングよると、1位は圧倒的な店舗数を持つセーフウェイ、2位がクローガー、3位がA&P,4位がラッキー、そしてアルバートソンは9位になっていました。その後変遷を重ねて、最新の2011年度は、1位クローガー、2位セーフウェイ、3位がアルバートソンを始めとして多くのスーパーマーケットを飲み込んだスーパーバリューとなっています。そんな中、今度はアルバートソンがセーフウェイを買収するというニュースが入ってきました。

 記者発表によると、アルバートソンがセーフウェイの株を91億㌦(約9100億円)ほどで買収することで合意したとのことです。この合併によって、セーフウェイの株主は1株当たりおよそ40㌦(約4000円)が手に入るそうです。内訳は、1株当たり32.50ドルの現金と、セーフウェイのギフトカード部門ブラックホーク・ネットワーク・ホールディングスの株式などです。また、新生アルバートソンは、2400店舗以上を全米に展開することになります。1位のクローガーが約3600店(2011年)ですから、それにはまだ及びませんが、新生アルバートソンは、この全米展開の体制でクローガー追撃を目指すことになります。取引は今年(2014年度)の第4四半期までに終わらせるという目論見です。

 セーフウェイが誕生したのは、1914年のことです。この時は、まだ一介の食料品店にしか過ぎなかったのですが、1926年に投資家のチャールズ・リンチ氏に買収されてからがらりと変わります。リンチ氏は、投資会社メリル・リンチを起こした人ですが、資本と経営の分離を図り、経営の責任者をM・Bスキャグ氏としました。スキャグ氏は、初期のアルバートソンとも関係の深い人で、後にスキャグ・アルバートソンというコンビネーションストアを開発したことでもよく知られています。スキャグ氏は、買収したセーフウェイをキャッシュ&キャリー(現金持ち帰り)の店としました。

 セーフウェイは、海外戦略の先駆者でもありました。豊富な資金を背景に、1929には早くもカナダに進出しています。さらに1962年には、イギリスに、1963年にはオーストラリアに、1964年にはドイツに進出しました。現在では、すべて全く関係ありませんが、オーストラリアやカナダのように、今もセーフウェイが代表的なチェーンになっている国が少なくありません。日本にも住友商事と組んで進出しようとしましたが、大反対にあって撤退した経緯があります。セーフウェイがワンストップ・ショッピング(日常生活必需品の提供)に相応しい大型店舗を展開し始めたのは70年代後半のことですが、結局上手くいかず、80年代に入ってリストラをせざるを得なくなります。海外進出していた子会社を手放したのもこの時です。

apr06#02セーフウェイ (2)
 セーフウェイは、一時非公開にした時もあったのですが、1997年にはボンズ、98年にはドミニクス、99年にはロンダールフード、カーゴティンフードなどを買収し勢いを盛り返しました。さらに2000年にはグロサリーワークス・ドットコムを買収してネットサービスにも参入しています。

 アルバートソンの誕生は1939年になります。それまでの食料品店の常識を破って通常の8倍の面積の大型店舗を開発しました。パン、肉の加工品、雑誌など通常スーパーでは扱われないような商品を店舗面積の拡大によって導入しました。1951年には、スーパーとドラッグストアとを組み合わせたコンビネーションストア「スキャグ・アルバートソン」を開発します。この時、ドラッグストアを展開するスキャグ氏との関係が深まります。日本では、アルバートソンの大型店舗をスーパー・スーパーマーケット、つまり既存のスーパーを超える巨大なスーパーと呼んでいましたが、当初から拡大志向の強い企業だったのです。

 スーパーマーケットが競争に打ち克つには、店舗の数が多いことが肝腎です。アルバートソンもセーフウェイと同様に買収によって店舗の数を増やしていきました。1964年にはグレートオールアメリカンマーケット、78年ファチオストア、92年ジュエルオスコ、99年アメリカンストア、2004年ブリストルファームなどを買収します。買収だけでなく、97年にはネットによる販売を始めたり、ガソリン販売を試したり、新しい挑戦を行ったのですが上手くいかず、資金不足を招いて2002年には一部店舗をクローガーに売却しました。

 アルバートソンの業績悪化の原因は、大きく2つのことが指摘できます。1つは、競争の激化です。特にウォルマートが1988年から展開を始めたスーパーセンターの影響です。効率の良いスーパーマーケットと言われていたアルバートソンでしたが、ウォルマートのローコストオペレーション、エブリデイ・ロープライスの敵ではありませんでした。2004年にはアルバートソンも価格訴求の業態開発に取組むのですが、もがけばもがくほど傷は深くなります。2006年には遂に企業を解体してそれぞれの店舗を売却することになりました。中核になるスーパーのアルバートソンは、スーパーバリューとサーベラス・キャピタル・マネジメントが率いるファンドに、ドラッグストアはCVSに、分割しました。

アルバートソン
 分割の結果、アルバートソンは、南カリフォルニアやワシントン州などで展開していた店舗はスーパーバリューの傘下に、テキサス州やルイジアナ州で展開していた店舗は「アルバートソンLLC」としてサーベラス・キャピタル・マネジメントの運営になりました。話はこれだけで終わりません。今度は西側で展開していたアルバートソンの親会社、スーパーバリューの業績が悪化してきたのです。そこで2013年にサーベラスは、スーパーバリュー傘下のジュエルオスコ、アクメ、ショウズ、スターマーケットと共にアルバートソンを買収したのです。新しい統合企業は、「ABアクイジションLLC]という名です。

 サーベラス・キャピタル・マネジメントは、米国の年金基金や機関投資家などから集めた投資信託を基に運営されているファンドですが、日本でも西武鉄道のTOBなどで知られています。今回の買収を整理すると、セーフウェイを買収するアルバートソンは、ABアクイジションLLCという統合企業の傘下にあり、その企業をコントロールしているのがサーベラスグループということになります。グループの中にはキムコ不動産、クラフト不動産、ルーバート・アドラー・パートナー、ショッテンスタイン・ストアなどが含まれています。新生アルバートソンでは、アルバートソンのCEOだったボブ・ミラー氏が会長になり、セーフウェイのCEOだったロバート・エドワード氏が社長兼最高経営責任者になるとのことです。

 ミラー氏とエドワード氏のこれまでのインタビューを要約すると、①アルバートソンとセーフウェイの両社は、これまで同様に維持していきたい、②かなりのコスト削減が可能になる、③これまで以上の低価格をお客に提供できるようになる、④異なる地域のショッピングのニーズに迅速に対応することができる、⑤有能な2大経営チームが結集することで、これまで以上に効率的な経営が可能になる、ということです。しかし、これまでも多くの企業を売り買いしてきたファンドにとっては、株主利益を高めることが最大の使命です。新生アルバートソンもいつなんどき、どんな形で売却されるかは気になるところです。さらに、PBや物流や顧客サービスなど統合は簡単ではありません。有能な2大経営チームのお手並み拝見というところです。
スポンサーサイト

テーマ:ビジネス - ジャンル:ビジネス

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。