小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ドイツの小売業は基盤が強い

レーベの駅店舗2

 欧米の小売業の特徴の一つは、集中化です。2003年のジェトロの調査によると、最も集中化の進んでいるのがスイスで、上位3社だけで89%もあります。さらにフランスでは53%、イギリスが47%、ドイツが41%、アメリカが27%です。日本は9%ですから、まだまだ小さな数字です。これが10年前のデータですから、さらに進んでいると予想されますし、企業の範囲を3位から5位までにするとさらに集中率が高まると考えられます。

 ドイツは、そうした集中化の象徴のような国です。『ストアーズ』2011年度の「世界の小売企業売上高ランキング」を見ると10位以内にドイツの企業が3社入っています。さらに20位以内に広げると5社が入っています。世界でトップの小売企業は、アメリカのウォルマートですが、2位はフランスのカルフール、3位がイギリスのテスコ、そして4位がドイツのメトロになります。そのメトロを先頭に、7位にシュワルツ、8位にアルディ、15位にエディカ、19位にレーベと続きます。日本の企業では、やっと13位にイオン、16位にセブン&アイ・ホールディングが上がってきます。

 ドイツの大手企業は、スーパーマーケットのエディカを除いて全てグローバル展開です。ドイツを離れて複数の国に出店しています。メトロは、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、中国、クロアチア、チェコ、デンマーク、エジプト、フランス、ギリシャ、ハンガリー、インド、イタリア、日本、カザフスタン、ルクセンブルグ、モルドバ、オランダ、パキスタン、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、セルビア、スロバキア、スペイン、スエーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、英国、ベトナムとドイツも含めて33か国に進出しています。日本の企業も最近では、盛んに海外に進出していますが、まだまだこれほどの数にはなりません。

ドイツのHCツーム

 ドイツで2番目に大きな企業であるシュワルツもドイツの他、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリー、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロバニア、スペイン、スエーデン、スイス、英国など26か国に進出しています。3番目のアルディは、ドイツの他、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ハンガリー、アイルランド、ルクセンブルグ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スロベニア、スペイン、スイス、英国、米国など17か国に進出しています。アルディは、出店国数は少ないものの、英国、米国、オーストラリアといった英語圏に積極的に出店しているのが特徴です。

 ドイツの大手小売業が、他国へ出ていくだけでなく、他国からドイツに入ってくる場合も少なくありません。ドイツでは、他国からの参入は、原則自由です。流通企業設立に関する特別な規制、条件といったものはありません。営業届を提出し、管轄の税務局、商工会議所、手工業会議所、同業者労災保険組合などの登録をすれば設立できます。そこでウォルマートやイケアといったよく知られた大手小売業なども参入しています。ところが、ウォルマートは2006年に撤退してしまいました。1998年にベルトカウフの21店と翌年手に入れたインタースパーの74店でスタートしましたが、その後、1店のオープンもできず、結局失敗に終わってしまいました。

ベルリンの壁

 ウォルマートの失敗の原因については、さまざま言われていますが、私は2つの原因が大きかったと思っています。1つは、小売業の環境です。ドイツは、日本と同じようにさまざまな業態が存在しています。なおかつウォルマートが得意とする低価格の分野でもハードディスカウントやハイパーマーケットのような業態があります。こうした発達した小売業環境の中に新規で参入するには、かなりの資金と力技が必要になります。ドイツは、前述のように原則的には参入自由ですが、大型店の出店は消費者の反対にあったり、労働組合の同意が必要であったり、と面倒な問題があります。こうしたローカル環境を十分理解しなかったことが大きかったと思われます。日本からカルフールが撤退したのもこれが大きな原因です。

 もう一つは、参入の仕方です。ウォルマートは、ドイツに直接参入しようとしました。ウォルマートの力をもってすれば、問題はすべて解決するとでも思ったのでしょうか。ちょっと傲慢な考え方です。小売業は、地域産業でもあります。いかに世界で大きな力を持っていたからと言って、そう簡単に参入できるものではありません。その教訓からでしょうか、イギリスではASDA、日本では西友という地元企業によって間接的に参入しました。時間を掛けて根を張っていくことが必要だと気づいたのでしょう。いずれにしても、ドイツの小売業はウォルマートを撤退させるだけの確りした基盤を持っているのです。
スポンサーサイト

テーマ:ビジネス - ジャンル:ビジネス

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。