小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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イオンモール幕張新都心店の差別化要因
横に長く続くイオンモール幕張の外観

 ショッピングセンター(SC)に新しいタイプが登場しました。千葉県幕張にオープンしたイオンモール幕張新都心店です。日本のショッピングセンターは、1969年に誕生した玉川高島屋SC(二子玉川)とされています。それから40有余年、これまでのSCの概念を突き破ろうという新しい試みが行われているのです。マスコミでは、「モノを売るからコトを売る」SC、「体験型」SCなどとして取り上げられています。SCも競争が厳しくなり、お客の買物範囲も狭くなる傾向です。そうした中で、お客の来店目的をどのように設定するかが新しい大型SCの課題になっているのです。

化粧品専門店コスメーム
 イオンモール幕張に入って、まず気付くのは「見せ方」です。モールから各店の壁面がよく見えるように作られています。これまでのSCでは、各店に足を踏み入れて初めて多くの選択肢が目に入ります。ところがイオンモール幕張では、左右の壁面、突き当たりの壁面が、モールから見渡せるように作られているのです。モールを歩くだけで各店の商品が迫って来て、楽しい気分になってきます。言葉を変えていえば、各店のアピール度が高くなっているのです。

イギリスからやってきたトップショップ日本5店目
 商品の陳列には段階があります。第一段階は、商品を棚にただ並べて置くというものです。終戦直後の配給所のようなものです。扱っているものが何なのかが解ればそれで十分なのです。中国などでもつい最近までこんな調子でした。次には、商品の分類が始まります。お客が買い易いように、商品の管理がし易いように並べます。これまでのようなただ在庫をお客に見せるのではなく、金物は金物、陶器は陶器、大きなものは大きなものというようなことです。次の段階では“選択肢”を提示します。デザインやカラー、素材といった選択の要素によって陳列するのです。お客にとっては、より選びやすく、買い易くなります。その次の段階は、選択肢をただ提示するだけでなく、「美しく陳列する」、というものです。カラーバリエーションやデザインの面白さでお客の目を引くのです。イオンモール幕張は、モール全体でこの段階を目指していることが解ります。

ショーケースを並べて百貨店のようなイオン
 SC先進国、アメリカの場合、SCはコミュニティ機能の一環として存在します。協会や学校などと同様です。つまりコミュニティの中で、それぞれ都合のよい場所に作られます。当然厳しい競争はありますが、立地によって明確にSCのタイプが決まってくるのです。もし新たなSCを開発しようとすれば、既存のSCを改装するか、これまでの範囲の外側に作らなければなりません。もちろん小型のSCであれば、その限りではありません。ところが日本の場合、コミュニティが明確ではありませんし、SCを建設する場所も限られてきます。空いている適当な土地を有効活用するしかないのです。そこでSCが大規模の場合、どれだけ商圏を広くとることができるかが課題となってきます。

イオンモール幕張の店内
 SCは、生活に必要性の高いところから順に滞在時間が変わってきます。スーパーマーケットやドラッグストアなど生存に欠かせない店舗が入っている小型のSCでは、買物は短時間になります。なりますというよりも、できるだけ短い時間で買物を済ませたいというのがお客の心理です。日常の買物なので楽しいこともないし、他にもやらなければならないことを抱えているからです。特に、働いている女性にとっては休日は貴重な時間です。次に、衣料や雑貨を扱う中型のSCになると選択や試着が必要ですから買物時間も比較的長くなります。さらに、様々な要素が入った大規模SCになると、楽しさ、面白さなどで滞在時間を長くする必要が出てきます。既存のSCとの差別化をしなければ、お客は遠くから来てはくれません。

体験型専門店のパイオニア島村楽器
 イオンモール幕張は、1日中楽しめるように設定されています。アクティブモールにあるボルダリングやフットサルパーク、テニスステージなどスポーツ関係のもの、ファミリーモールにある「カンドー」は、キッザニアのような子供の社会体験施設。グランドモールには、喫茶店を組み込んだ書店やシネコンはもとより、よしもとの劇場なども併設されています。専門店や飲食店にも新しい試みがたくさんあります。専門店では、化粧品雑貨の店やグルメ食品の店などが特に見どころです。大規模SCは、買物が不便という声もありますが、一日24十分に時間をつぶせるのです。ディズニーランドのファンは、一日居ても飽きないといいますが、イオン幕張は同じものを目指しているといえるでしょう。

シネコンによしもと劇場もある
 イオンモール幕張と既存SCの大きな違いは、結局、客層と滞在時間です。客層とは、来店客はどんな人か、ということです。もちろんどんなお客が来店しても自由なのですが、買物を早く切り上げたいと思うようなSCでは、子供を連れて行くのは気が引けますし、夫にとっても、楽しいものとは言えないでしょう。ところがディズニーランドに見られるようなコンセプトの“場”であれば、大人も子供も家族そろって楽しめます。家族そろって楽しめると言うことになれば、当然滞在時間も長くなります。大規模SCの差別化は、ユニークなテナントを入れることも重要ですが、今やこの段階に入ったといえます。大規模SCということでは、パイオニアでもある同じ沿線の「ららぽーと」との競争が注目されていますが、イオンモール幕張の試みがどんな結果になるか、今後が楽しみです。
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