小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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ユニクロ売上高1兆円達成の道標

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 ユニクロ(ファーストリテイリング)が遂に1兆円の売上高を超えました。もちろん、ユニクロ単体ではなく、グループ全体ですが、専門店企業では日本初の快挙です。2013年8月期の連結決算では、売上高1兆1430億円、純利益903億円になりました。ユニクロが頭角を現してきた20年ほど前、本社のあった山口県宇部に何度か足を運びました。本社へは、3度ほど伺ったと思います。宇部空港からタクシーでかなり時間が掛かったように記憶しています。こんなところに本社がある企業が、よく急成長を果せるものだ、というのがその時感じた率直な気持ちでした。

 ユニクロに初めて注目したのは、道路沿いに小売店が続々誕生していた時でした。当時、ロードサイドリテイラーと呼ばれた小売店には、家電、紳士服、靴、玩具、スポーツ用品、ホビー、園芸、ペット、それにカジュアル衣料など多岐に亙っていました。ロードサイドが小売業の立地になった大きな理由は、車の普及でした。既存の商店街や駅前では、もはや対応できなくなっていたのです。アメリカのようなカー社会の到来でしたが、大型店の規制によってショッピングセンターの建築は厳しく制限されていました。そんな中で俄然勢いを付けたのがロードサイド立地に目を付けた小売業者だったのです。ユニクロも実は、ロードサイドリテイラーの一つと見られていたのです。

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 もう一つユニクロは、カジュアル衣料の専門店ということでも注目されていました。実は、カジュアル衣料は、ロードサイドの中では後発組です。紳士服や靴、スポーツ用品のように早くから拡大した業種ではありませんでした。その原因は、それまでの衣料小売店の構造にありました。専門店は、スーツが主役で、その中にカジュアルがあるというように、カジュアルだけの扱いでは採算が取れないと思われていたのです。ところが、時代はカジュアルに傾いていました。「カジュアル・デイ」と言われる日があちこちの企業で導入され、青山のような大手の紳士服チェーンもカジュアルの専門店を展開するようになりました。ユニクロは、そうしたカジュアル専門店のパイオニア的存在でもあったのです。

 柳井社長には何度かインタビューをしましたが、当時どんなことをお聞きしたのかまったく思い出せません。ただ、大きな夢を持った新しい経営者が現れて、日本のチェーンストアの風景も変わってきたことを感じたのを覚えています。もしかしたらギャップやリミテッドのような急成長の専門店が日本でも生まれるかもしれないという予感です。それは、ユニクロがSPA(スペシャルティ・リテイラー・オブ・プライベートレーベル・アパレル)という方式を取り始めていたからです。

 SPAは、もともとギャップの創業者のドナルド・フィッシャー氏が業績発表の記者会見で使った造語でした。直訳すれば、<自社だけのアパレル製品の専門店>ということですが、要は製造販売の専門店ということです。それまで衣料専門店は、アパレルメーカーの製品を仕入れて販売するものでしかありませんでした。そのため売れ残りが出ると返品などというゆがんだ慣行が生まれていたのです。SPAは、専属工場に自社デザインのものを作らせて自社の店舗で販売する、というものです。さらにアパレルメーカーは、生地メーカーから生地を仕入れて工場に持ち込みますが、SPAは生地メーカーとも直接のパイプを作って、独自の生地を低価格で仕入れるのです。ユニクロは、この方式を日本でいち早く、思い切って取り入れた企業でした。

 ユニクロは、今や全体の36%に当たる446店(2013年8月末)を海外に出店しています。さらに来期末には約640店舗を海外店にする計画です。これにより国内と海外店舗の比率は6対4になる予定です。日本だけに止まらず世界企業へと成長したのです。しかし、世界には強力なライバルがたくさんいます。ザラを展開するスペインのインディテックス、スウェーデンのH&M(ヘネス&モーリッツ)、アメリカのギャップ、アメリカのリミテッドなどです。その他にもフォーエバー21のように後発の急速成長企業もあります。

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 『ストアーズ』誌(2013年10月号)に掲載された2011年度の売上高と純利益を見ると、インディテックスは191億5700万ドル、27億200万ドル、H&Mは169億7400万ドル、24億4100万ドル、ギャップは145億4900万ドル、8億3300万ドル、リミテッドは103億6400万ドル、8億5000万ドルとなっています。対するファーストリテイリングは、100億5700万ドル、6億9000万ドルです。

 ファーストリテイリングの決算期は8月ということで、簡単な比較はできませんが、世界では厳しい戦いが行われていることが分かります。『ストアーズ』の資料によるとすでに出店している国の数は、インディテックスが87カ国、H&Mが43カ国、ギャップが41カ国、リミテットが50カ国に対してファーストリテイリングは、まだ20カ国です。世界的に見るとファーストリテイリングは、まだまだ新興企業といえるのです。ファーストリテイリングは、2020年には5兆円の売り上げを目指していますが、世界でのシェア率争いが、その鍵を握っているようです。
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