小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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ドイツ流合理性が溢れるドイツ流通業

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 ドイツに1週間ほど旅行してきました。ドイツは、東西が一体化したことでヨーロッパの大国になったと思っていたのですが、今回初めて日本より国土面積が小さいと言うことを知りました。日本が37万7,930㎢に対してドイツは35万7,121㎢とわずかではありますが、日本の方が大きいのです。子供の頃、日本はアジアの端の小さな島国で、資源も何もない国なので、国民は勤勉に一生懸命働かなければならない、とどこかで教えられたような気がします。日本は、確かに島国ではありますが、それなりの大国であることを認識させられました。特に、最近では島国であることが、逆に海洋資源の多いことにも繋がっているのです。

 ドイツは、哲学の国です。カント、ニーチェ、ハイデッガー、ヤスパースからマルクスまでたくさんの有名な哲学者がいます。そんなことも関係してか、国民は勤勉で、約束を守り、ドイツ流の合理的な考え方があちこちに見られます。日本だったらどうだろうと思うところもありますが、何に付けてもドイツの合理性が明確に感じられるのです。ユーロ諸国の中で、どうしてドイツが盟主となっているのかが分かったような気がします。こんなところからヒットラーは大きな勘違いをしてしまったのではないでしょうか。日本が戦争に突入したのも、同じような勘違いがあったのではないかと思うと他人ごとではないような気がしました。

 ドイツの小売業は、外見は日本と似ています。住宅地の中にはスーパーマーケットがあり、フリーウエイ(アウトバーン)沿いには大型のショッピングセンターが見られます。住宅地の入口付近には、ホームセンターもあります。日本のセブン&Iやイオンのような総合スーパーもあれば、スーパーマーケットのチェーンもあります。ちょっと違うのは、ここでもドイツ流の合理性が見られることです。日本のような生鮮食品から惣菜まで扱うスーパーマーケットとは別に、ハード・ディスカウントストアと呼ばれる食料品店があるのです。

レーベの駅店舗
 ハード・ディスカウントストアは、「ボックスストア」とか「リミテッドアソートメントストア」とよばれることもあります。店舗の形態やオペレーションの面に重点を置くと「ボックスストア」になりますし、マーチャンダイジングの面に重点を置くと「リミテッドアソートメントストア」になります。「ボックスストア」で言えば、店舗は300~500㎡前後のマッチ箱のような店形で、商品は陳列ケースに並べられているのではなく、ダンボールケースのままであったり、パレットのまま置かれています。値札は、天井から吊り下げられているだけです。店内の飾りは一切有りません。レジ袋などは、出しません。お客は、ダンボール箱やパレットの商品を直接取り出して、レジで精算し、持ってきた袋か空ダンボールに入れて持ち帰るのです。宣伝・広告は、ほとんどしません。

 「リミテッドアソートメントストア」は、品目が限定されている店、という意味です。日持ちする缶詰や冷凍食品を中心に500~800品目に絞られています。品目数が少ないということは、お客がよく購入する商品、つまり毎週消費されるような商品にしているということです。従ってドイツ人の主食と言えるジャガイモなども扱われています。「ボックスストア」も「リミテッドアソートメントストア」も、どちらにしても徹底的に低価格を追求している店舗だということを示しているのです。売価は、通常のスーパーマーケットより10%~20%安く、粗利益率は9~12%と低く押さえられている、と言うことです。

 ハード・ディスカウントストアでは、「アルディ」や「リドル」といった店が有名です。アルディは、1979年にアメリカにも進出しています。アイオワに1号店をオープンしてから、現在では29州に1000を超える店舗を展開しています。ただし、当初とは様子が変わって、1400品目と品目数が増えています。消費者の食生活の多様化に対応した結果なのでしょう。日本でもアメリカと同時期の79年にダイエーが日本の “ボックスストア”ビッグエーを誕生させました。ワールド・ワイド・チェーンストア・システムズというアメリカのコンサルタント会社の指導によるものでしたが、食生活が違っていますから同じようにはいかなかったようです。

パン店のショーウインドー
 装飾を一切削って、商品を絞るというボックスストアの考え方は、今でも生き続けて、ビッグエーは、200店ほどのチェーンになっています。ただし、“ボックスストア”という概念とは違って、一部生鮮食品などおよそ2500品目を扱っています。イオンが2008年に扱い品目を生活必需品に絞り、店舗運営費を削り、安さを追求する小型店を東京・練馬にオープンしましたが、これも同じような考え方に基づくものです。これからドイツの合理性が、日本にも広がってくることが予想されます。次回は、具体的にドイツの小売業の現状を見ていきたいと思います。
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