小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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ディズニーランド以前と以後の日本の環境
 東京ディズニーランドが今年で30周年ということです。私のディズニーランドとの出会いは、ロサンゼルスです。米国流通業視察に出掛けても、しばらく距離をとって足を運ばなかったのですが、勉強になるから一度は行った方が良いと人に進められて、気は向かなかったのですが、覗いてみることにしました。どのみち大きいだけの遊園地でしかないだろうと思っていましたが、覗いてみるとすっかり気持ちが変わりました。人の力で、これほどのものが作れるのかと思ったのと、そこに来ている人たちが、皆な幸せそうに、楽しそうにしているのに感動したのです。

 来園者はファミリーが多く、大人も子供も同じように楽しんでいました。私も、こんな楽しさを家族に味あわせたいとその時率直に感じました。それは、アメリカのショッピングセンターの実情と同じように、偉大さ、面白さの象徴でもあったのです。その後子供たちを引き連れて何度か足を運びました。フロリダのディズニーワールドまで足を運んで、アメリカ国民の楽しみ方を経験してみました。当時、一番心に残ったことは、ディズニーランドが、一般大衆の娯楽であったということです。ある特定の金持ちだけが楽しむというのではなく、お金が無くても楽しむことができるのです。そのために様々な環境が整っていました。遊園地の施設だけではなく、道路や駐車場、宿泊施設からレストランまであらゆる人に対応するように計画が行き届いているのです。

 東京ディズニーランドにはプレオープンの段階で3度ほど取材に行ったような記憶があります。オープン後も家族で何度か行っています。初めて他国に作るということで、施設などは手を抜くのではないかと少々心配でしたが、ディズニーは手を抜きませんでした。当時、ディズニーランドなど知らない人が少なくなかったようで、「アメリカにある、ただただ大きな遊園地ができるけど、そんなところに日本人が遊びに行くのか」と懐疑的に見ている人が多かったような気がします。確かにディズニーランドの持っている雰囲気と当時の日本人の暮らし方には、違和感がありました。

 プレオープンに取材をしているので、私の担当している雑誌でもディズニーランドを取り上げることになりました。ただ単に諸施設の説明では、どこのマスコミでも取り上げることですし、今はまだどう説明しても、読者に理解してもらうことは出来ないだろうと思いました。さらに小売業、サービス業、チェーンストアの専門誌としてどう取り上げたら良いのか、大変に悩みました。結局、キーワードを並べてディズニーランドの本質を理解してもらうことが、今の段階では良いだろうということになりました。当時、“ファミリー”“楽しむ”“並ぶ”“笑顔”など10ほどのキーワードに集約したような気がします。
デズニーシーで遊ぶ親子


 “ファミリー”は、大人も子供も同じように楽しむことができるということです。それまでの遊園地は子供の遊び場で、子供が遊ぶのを親が監視しているようなものでした。家族全員が同じように遊び、楽しむという新しいテーマパークということを紹介したのです。
“楽しむ”では、ディズニーランドの楽しみを紹介しました。最近スポーツなどでも楽しむということが言われるようになりましたが、当時はまだ本当の楽しさが生活の中に入っていませんでした。余裕が無かったというのか、楽しむのは子供のうちで大人の楽しみというと何か胡散臭いものに感じられていたのです。楽しむなんて道楽者か怠け者がやることで、せっせと働いて、老後の暮らしを少しでも楽にしようといった感じです。

 “並ぶ”は、ネガティブなことなので取り上げるのにかなり悩みました。無理やり並ばせられて配給のものをもらうとか、学校では並ばされて面白くもない朝礼を聞くとか、印象としてはあまりよくありません。ディズニーランドでは、1時間も2時間も、長い時には3時間も並ばなければアトラクションに乗れないこともあるのです。しかし、アメリカのディズニーランドで見た景色は、並んでいるときに次のアトラクションに乗る期待や喜びを家族や友達が話しあったり、赤の他人同士が話したりしているものでした。並ぶことが、楽しみにつながっているのです。

 “笑顔”は、そのものズバリ。園内のどこに行っても笑顔、笑顔、笑顔です。全ての人がこの笑顔を求めてディズニーランドを訪れ、他の人の笑顔に出会うことによって、自分の笑顔を取り戻すことができるという循環なのです。現実から離れ、非現実の世界に居ることによって、本当の笑顔が獲得できるようになるのです。それが現実社会に持ち込まれるという好循環に結びついて行くのです。ディズニーランドは、一つの時代のエポックでもあったと思っています。ディズニーランド以前と以後とでは、日本のサービス水準は圧倒的に変わりました。日本人の意識も変わりました。全ての環境が変わったといっても過言ではないでしょう。しかし、アリとキリギリスの寓話を出すまでもなく、楽しみの本質を見失わないようにしたいものです。
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