小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
商品テストをしてお客の信用を獲得する
 アメリカに『コンシュマーレポート』と言う雑誌があります。コンシューマーズ・ユニオンという研究所が1936年から発行しているもので、発行部数約400万部、多い時には700万部に達するという雑誌です。雑誌の内容は、製品をテストして評価し、発表するというものです。自動車から洗濯機、レンジ、掃除機、冷蔵庫、テレビなどありとあらゆる消費財をテストし、その結果を掲載します。消費者が商品を購入する時に参考にしますから、当然売れ行きにも影響を与えます。

 『コンシュマーレポート』が発刊されてから75年が経ちますが、この雑誌が長く続いている理由は公平性にあります。公平な記事であることが読者、如いては社会の信用に繋がっているのです。広告の掲載は、一切ありません。収入は販売部数だけです。スポンサーが無い分、誰に気兼ねすることもありませんし、読者も安心して結果を信じることができるのです。この消費者の信用が75年間のゆるぎない名声を保っているのです。

 1964年から91年にウォルマートにトップの座を奪われるまで、全米ナンバーワンだったシアーズという小売企業があります。シアーズは、もともと通信販売の会社でした。広大なアメリカでは、消費者は通信販売に頼らざるを得なかったのです。しかし、当時は欠陥商品が多く、詐欺まがいの商売が横行していました。逆に言えば、お客の信用を得ることが、通販会社が成功する鍵だったのです。そこでシアーズは、サーティファイド・ギャランテッド(満足の保証)をスローガンに、さまざまな手を打ちます。

 その一つは、返品の自由です。思っていたような商品と違う、欠陥がある、という時には返品を受け付けるというものです。それもマネー・リファウンド(返金)するということでした。もう一つ、見逃せないのは1911年に商品試験室を作ったことです。シアーズ独自の基準を作り、これに合格した商品だけを扱いました。最初ほとんどのメーカーは、商品試験に反発しました。なぜシアーズにテストされなければならないのか、ということです。シアーズはお客の信用を得るために断行したのです。

 シアーズの商品がお客の信用を得るようになると、メーカーの態度も変わってきました。シアーズの商品試験室を通った商品ということで売れるようになったのです。メーカーもシアーズのお墨付きがなければ、売上を伸ばすことができなくなったのです。話はそれますが、シアーズが商品試験室を設立した1911年は、あのT型フォードが生産を開始した時でした。T型フォードは、自動車の普及を促進し、アメリカの経済発展に貢献しました。1911年は、アメリカの経済民主主義形成に大きな足跡を残した年だったのです。

 先日、ニトリで買物をしました。タオルケットが古くなっていたので新しいものが欲しかったのと、値段が安かったこともあって買いました。家に帰ると、妻がタオルケットにオイルの臭いがすると言うのです。何かが付いて臭いがするのだろう、ということでとに角洗ってみることにしました。ところが、洗っても臭いが落ちません。鼻を付けると明らかにオイルの臭いがするのです。仕方なくニトリの購入した店舗に持っていきました。予め電話を入れておいたので、直ぐに新しい商品に交換してくれました。

 新しい商品は、確かに臭いがありませんでした。ところが、洗濯してみるとまたまたオイルの臭いがするのです。何かの具合で、ある特定の商品にだけオイルの臭いが付いてしまったのではないかという想像は、すっかり崩れてしまいました。幾つか仮説を立てて試みてみました。そのなかで分かったことは、洗剤を変えると臭いが出ないということでした。通常我が家では、コストコのPB「カークランド」のウルトラという洗剤を使っていますが、日本製の洗剤を使うと臭いがないのです。結果としてタオルケットの繊維と洗剤の相性があって化学反応が起きるのではないか、ということになりました。

 ニトリは、製造販売に力を入れている小売業です。住生活小売業のSPA(製造小売販売)と言われ、生産拠点もバングラディシュやヴェトナムなど数か国に及んでいます。今やシアーズなどに匹敵する規模と生産手段を持っていると言っても良いでしょう。しかし、商品試験は、十二分に出来ているのでしょうか。テストをしているとすれば、どのような方法でしょうか。SPAでもユニクロ(ファーストリテイリング)などの場合、原料になる生地は日本の繊維メーカーのものです。繊維メーカーは、繊維メーカーでさまざまなテストをして問題がないかをチェックしているはずです。ニトリのタオルケットの場合、生地までチェックしたかどうか疑問です。製品の目による検品だけでなく、洗濯テストなども行われてしかるべきだと思うのですが。
スポンサーサイト

テーマ:ビジネス - ジャンル:ビジネス

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。