小売業は、その国の生活を映す鏡のような存在であるが、世界のショッピングセンターや小売店の実情から、生活全般の変化を考える。
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巨大ショッピングセンター「イオン・レイクタウン」只今建設中
店舗の屋上に取り付けられたソーラーパネル
今年の10月初旬のオープンを目指して埼玉県・越谷市に巨大なSCが建設中であることをご存じでしょうか。総称を「イオン・レイクタウン」と言いますが、敷地面積約26万4000㎡に500店舗超のテナントが入る約22万1000㎡の商業施設面積が誕生することになっています。建物の延床面積でみると約36万5000㎡にもなります。既存のSCでは千葉県・船橋市のららぽーとが国内最大になりますが、敷地面積約17万1000㎡、店舗面積で約11万5000㎡、延床面積で約28万2000㎡ですから、規模の面では上回ることになります。ただし、テナント数では540店ということですから、ほとんど同じ、駐車場も8200台と8300台ですから同じと見て良いでしょう。

ららぽーとは、1981年4月にオープンしてから5回の増床を経て、現在の規模になっています。それから考えるとレイクタウンの大きさが並大抵のものではないことが解ります。そのためSCは、イオンモール㈱が運営する「KAZE」とイオン㈱が運営する「MORI」と名付けられた2つの棟によって構成されています。核店舗も「KAZE」が越谷レイクタウン・ビブレとマルエツ越谷レイクタウン店、「MORI」がジャスコ・レイクタウン店と3店舗あります。イオンのグループ総力での取り組みということですが、しばらく前まではビブレはマイカルの展開していた店舗であり、マルエツはダイエー系のスーパーだった事を考えると、時の流れの恐ろしさというものを感じずにはいられません。逆に見れば、そうしたことがなければこれほど巨大なSCは生まれないということでもあります。

越谷市は、首都圏のベットタウンとして発展してきたところです。約32万の人口があって、南北には東武鉄道伊勢崎線が、東西にはJR東日本武蔵野線が走っています。東京からも近く、JR武蔵野線「越谷レイクタウン駅」から東京駅まで50分強という便利なところです。こんな場所に、巨大SCが誕生するのはこれが最初で最後といっても良いでしょう。誕生することになった理由は、「越谷レイクタウン」街づくりの一大プロジェクトによるものです。「越谷レイクタウン」は、東京・上野しのばずの池の約3倍、約40万㎡という広大な調整池の回りに約2万2千人が住むマンションや戸建て住宅、遊歩道や公園を配置し、水と緑に囲まれた新たな街を作ろうという日本最大級の街づくり事業です。JR武蔵野線「越谷レイクタウン駅」もそのために作られ、今年3月15日に開業しました。「イオン・レイクタウン」は、この街の商業機能を果たすことになるのです。

「越谷レイクタウン」は、「エコ」を街づくりのキーワードにしています。「水と緑に囲まれた街」なので、「エコ」に相応しいということでしょう。環境省の「街区まるごとCO220%削減事業」の初の取り組み事業ともなっています。「街区まるごとCO220%削減事業」は、新規市街地開発や再開発などで、デベロッパー、地権者、自治体などが協調してCO2の大幅な削減をもたらす対策をエリア全体に導入しようという事業に対して環境省が補助する、という制度です。「越谷レイクタウン」は、2006年他の事業とともにモデル事業として初めて採択されました。当然、「イオン・レイクタウン」のコンセプトも「エコ」を意識して、「シゼンに心地いい、ワタシに心地いい」というものです。店舗ももちろん「エコストア」です。ソーラーパネルやハイブリットガスエコシステムの導入によって従来のSCに比べて20%以上のCO2排出量を実現しようというものです。21世紀型のモデルとも言える巨大SCがどんな生活を提供することになるのか、オープンが楽しみです。

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間違いだらけのネイバーフッドSC③ 本ものだけが生き残る
個々のテナントが力を付けなければならない。

 NSCにとってショートタイム・ショッピングは、重要な条件です。お客は毎日の買物を出来るだけ短時間で済ませたいと思うからです。大型SCでは、逆にゆっくり時間を掛け、楽しみながら買物をしようとします。従って、大型SCは、滞店時間が長ければ長いほど居心地のよいということになります。結果、客単価は上がり、売上高が増えます。NSCでは、滞店時間が長くなればなるほど余計なものを買うことになり、結果、お金の掛かるNSCとなってしまいます。そこで、いかに目的のものが短時間に買って帰れるかが重要になるのです。何でもかんでも大きければ良い、商業集積が多い方が良い、店舗面積が広い方が良いなどという考えは、お客の視点とは言えないのです。

 商店街がショッピングの主流であった頃は、毎日の買物は商店街が支えていました。また、GMS(総合スーパー)が毎日の買物を担っているところもあります。だからといって、この2つがあれば良いと言うものではありません。確かに、小さかった頃に味わった商店街の人のぬくもりや面白さは、今思い出しても懐かしいものがあります。あのときがあれば、NSCは必要がないのかもしれません。GMSにしても、買い回らず、商品も自由に選べて合理的な買物ができます。しかし、だからといってNSCが必要でないという理由にはなりません。機能は同じだから、NSCは前者の隙間を埋めるものになる、などという考え方はまったくの勘違いです。

 アメリカの学者でマクネア(マルコムP.マクネア教授)という人がいます。彼は「小売業の輪の理論」で有名な人です。すでにご存じのことと思いますが、簡単におさらいをしておきます。小売業は、車輪のようにくるくる回りながら発展している、というものです。実は、この理論は“ディスカウント(安さ)”を中心にして展開しています。新規参入企業は、当初ディスカウントを武器に成長するが、次第に人件費や設備費などコスト高になって、安さが提供できなくなる。その間隙を突いて、また新たな企業が参入し、新旧入れ替わることになる。こうして次々に交替があって進歩・発展する、というものです。

 この場合の価格は、価値と言ったほうが良いかもしれません。価格も含めた買物の合理性が、新旧の交代を生み、進歩を促進するからです。人間にとって本当に良い方向に向かっているのかどうかはともかくとして、“進歩・発展”するのです。日本の小売業の歴史を見ても、百貨店がダイエーなどのGMS(総合―パー)に抜かれ、GMS(総合スーパー)がユニクロやしまむらなどに代わられる、といったことでも解ります。問題は、螺旋状に進歩、発展したものは、後戻りできない、ということです。NSCが商店街やGMSに代わったら、もはや後に戻るということはないのです。既存の業態で十分であるから新しい業態は生まれない、という考えも大きな間違いです。

 すでにあるNSCのなかには上手くいっていないものも少なくありません。だからと言ってNSCは増えないという論理も間違いです。上手くいかない原因が商業施設の変遷にあるのではなく、別の所にあるからです。一つは、デベロッパー不在、ということです。核店のスーパーマーケットやホームセンターなどの企業が、敷地の広さを埋めるためにNSCを作っていることがあります。この場合、どうしてもテナント構成や費用の割り振りにいい加減な面が現れます。核店企業に有利なように保証金や家賃、共益費などを決めてしまうのです。これでは、NSCがまとまるわけはありません。また、地元の不動産屋が仕切っているケースがあります。不動産屋にとっては、何よりもテナントを集めることが重要ですから、テナント・ミックス(どんな業種でテナントをまとめるか)は二の次になります。これでは強いNSCができるはずはありません。

 核店が弱いために上手くいかない、という場合もあります。近くにある安くて、鮮度の良い食品を売るスーパーマーケットに負けているのです。その力の無さをNSCという集積でカバーしようとしても駄目です。スーパーマーケットの水準を少なくてもある程度まで上げなければお客は来店してくれません。NSCに限らず、SCはテナント1つ1つの経営力が強くなければならないのです。弱いものが団結しても強いものに勝てる、というわけではないのです。弱いものは団結したら、勉強して自分の力を強くしなければならないのです。商店街は、今や歯抜けで団結が難しい状態です。NSCは、その団結の第一歩と言うこともできるでしょう。

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那須ガーデンアウトレットがオープン
隣接施設が多い那須ガーデンアウトレット
 昨日(7月17日)、「那須ガーデンアウトレット」がオープンしました。今年4月にオープンした三井アウトレットパーク入間に続いて首都圏での本格的アウトレットセンターのオープンです。場所は、東北自動車道西那須野インターチェンジを車で下りて約18分、来年開通予定の黒磯インターチェンジからだと約2分、電車ではJR那須塩原駅からシャトルバス約8分のところにあります。アウトレットセンターは、観光地の近くの非日常的立地に作られるのが原則ですから、理想的な場所と言えるでしょう。

 「那須ガーデンアウトレット」は、 株式会社ゼファー(東京都中央区)と株式会社大和地所(神奈川県横浜市)の共同開発によるもので、運営管理は、西武商事株式会社(埼玉県所沢市)が行っています。西武商事株式会社は、軽井沢でアウトレットセンター「プリンスショッピングプラザ」を手がけている企業です。そのためかどうかは定かではありませんが、軽井沢に似たところを持っています。換言すると、これがチェルシーの展開するプレミアムアウトレットとの大きな違いになっています。

 「那須ガーデンアウトレット」の特徴は、敷地面積:19万3070㎡、東京ドーム約4個分という広大な敷地にアウトレットセンターに隣接して地元特産品の販売店や、自然や動物と触れ合えるミニファーム、キッズガーデン、ドッグガーデンなどがあることです。チェルシーのプレミアムアウトレットでは、地元特産品もあるものの僅かなもので、あくまでもアウトレットストアと飲食店を主にしています。

 営業面積2万1306㎡のアウトレットセンターには、ラグジュアリーブランド、セレクトショップ、スポーツファッション、インテリア雑貨、カフェレストランなど111の店舗が集積しています。御殿場プレミアムアウトレットが165店、この7月15日に増床オープンした佐野プレミアムアウトレットが170店、軽井沢プリンスショッピングプラザが196店、三井アウトレットパークが204店舗と比べると、店舗数はまだ多いとはいえません。

 駐車場は、軽井沢プリンスショッピングプラザ、三井アウトレットパークと同じ3000台となっています。もちろん混雑時の臨時駐車場は用意されていると思いますが、御殿場プレミアムアウトレット4000台、佐野プレミアムアウトレットパーク4300台を考えると、外資系の方がアウトレットの経営では一日の長があると認めざるを得ません。特に、東北自動車道上で競合が予想される佐野プレミアムアウトレットは、ブランドの追加は20であったのが、駐車スペースは3000台から4300台に1300台増やしています。このビジネスでは、ブランドの数はもちろん、駐車スペースが重要なのです。

 もう一つ、注意しなければならないのは、アウトレットセンターに隣接する施設です。ややもすると何を目的とする施設なのかが不明になってきます。地元特産品の販売と同様にお土産を売る施設のようになってしまう危険があるのです。さらに危険なのは、日持ちのしない野菜や日配品の商品管理です。日持ちがしないということは、売り切らなければならないということです。毎日一定のお客が来店すれば問題はないのですが、バラツキが多いと商品管理が難しくなります。地元の特徴を出そうという気持ちは分かるのですが、この商品分野が多ければ多いほど経営は難しくなると考える必要があるのです。

那須ガーデンアウトレット所在地:〒329-3122栃木県那須塩原市塩野崎184-7  

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間違いだらけのネイバーフッドSC② 競争は無視できない
SCの競争が活力を生む
 小売業に関わらず、自由経済には競争は付きものです。特に店舗数が多く、お客の評価を直に受ける小売業は、常に厳しい競争に曝されています。アメリカでは、“カット・スロート・コンペティション”(喉を噛み切るような競争)という言葉で小売業の厳しい競争を表現しています。しかし、小売業では、この競争が活力になって、お客の変化に即応し、新しい業態を生み、新しい企業の登場となっていることは明らかです。ところが、この競争を無視した議論が多いのです。これが私の第3に気になることです。

 アメリカの生活必需品マーケットは、現在3つの勢力が競争を繰り広げています。一つの勢力はNSC、もう一つはスーパー・センター、そしてライフスタイル・センターです。これまでNSCは、自らのマーケットである近隣を守ってきたのですが、最近では価格の面でスーパー・センターに、クォリティ(質)の面でライフスタイル・センターに奪われるようになりました。これまで圧倒的に高い市場占拠率を誇ってきたNSCも、急激に力を失っているのです。しかし、見方を変えればこれまで安定の上にあぐらをかいていたNSCにも変化が求められていると言うことです。手をこまねいていては、やられるばかりですから、逆襲のための工夫をしなければならないのです。換言すれば、これが新たなエネルギーとなり、よりお客に近づいた小売施設の登場となるのです。

 日本の場合、NSCの本格的な時代がこれからであることは明らかです。その中身はアメリカと違うとしても、新たな近隣型商業施設(SC)が生まれるということです。もし、それが既存の商業施設に変わらないとすると、お客はどんな革新を小売業に期待すれば良いのでしょう。アウトレットセンターが出来るより、NSCが出来る方がずっと重要なのではないでしょうか。すでに日本には商店街があるではないかとか、SMやドラッグストアの単独店や専門店の単独店で十分ではないか、といった議論は競争をまったく無視している、と言わざるを得ません。もし、近くにNSCが出来、競争相手がそこにオープンした場合、お客を奪われるのは目に見えています。競争を考えれば、相手が出る前に今の店を閉めて、NSCに移るか、少なくとも最初からSMの近くに出店しておかなければならないでしょう。単独より集積の方が有利なことは明らかです。

 気になることの第4は、SCをブームとして捉える議論です。お客の生活の変化に合わせてSCも変化はします。しかし、本来は生活に根ざしたインフラストラクチャー(生活基盤)であって泡のように消えてしまうブームではありません。たしかにオープン時には、大型SCが登場した、アウトレットセンターで若者を集めているなどと話題を集めますが、新しいからであって、その後は生活の一部にビルト・イン(組み込まれる)されることになるのです。特に地域密着のNSCは、その意味合いが強くなります。アメリカでは、SCの過半数はNSCですが、もしこのNSCが無くなってしまうと消費者は、大変不便を強いられることになります。アウトレットセンターや大型SCが無くなるのとはわけが違うのです。「NSCが次の時代の花形だろうか」などと言うのは、小売業の本質を理解していない見方なのです。

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間違いだらけのネイバーフッドSC①
 ど
 SCを問題にするとき、第一に気になるのは、どういうタイプのSCが取り上げられているのか、ということです。ファッションやライフスタイル性の強い、広い商圏からお客を集めるSCなのか、それとも生活必需品を中心にして近隣の狭い商圏のSCなのか、が明確でないことが多いのです。明確でないというよりも混同している、と言った方が正確かも知れません。

 例えば、SCが急速に増えているのに売上げは上がらず、坪効率は損益分岐点近くまで落ちている、という論調があります。日本ではSC協会のデータが唯一のものなので仕方がない面もありますが、ほとんどが都心の駅前と地下街、郊外でも大型SCのデータばかりです。このデータも今年中には3000ヵ所近くになるであろう、と言われていますが、このデータをもってあらゆるタイプの結論にするのは、いかがなものでしょうか。

 たしかに、消費は不振で、小売企業の売上げも、利益も落ちている状況です。全般的な傾向ですから、結論は間違いないでしょうが、それはSCだからでしょうか。さらにすべてのタイプに当てはまることなのでしょうか。どの時代でも倒産する店があるし、繁盛する店もあります。SCも同じように繁盛しているSCがあるはずです。実際、直近(08年3―5月)の小売企業の業績をみると百貨店やGMS(総合スーパ)が悪いのに対し、SM企業が良い成績を上げています。

 大型店の業績が悪い理由は、衣料と雑貨関連の苦戦です。これをSCに拡大して想定すると、大型店が核店となっているSCは、苦戦が考えられるし、SMが核店のNSCは少なくても業績が落ちていないということになります。もちろん、これからますます外部環境は悪くなりますので、NSCの業績も悪化は免れないと思いますが、大型SCよりは安定していることは明言できると思います。いずれにしても、SCを一括りにして話を進めるのは、何の意味もありません。

 第2に気になるのは、時間の経過を無視している議論です。例えば、前述の「坪効率は損益分岐点に近くなっている」ということですが、ここにはすべてのSCのデータが入っています。SCのなかには、すでに減価償却を終えてしまった物件もあるでしょうし、競争相手が出来たためにお客を奪われてしまったSCもあります。当然、坪効率は落ちるわけですが、こうしたSCもデータのなかには入っています。

 私の家の近くにもオープンして20年ほどになるSCがありますが、核になっていた店舗が倒産してから、テナントが次々に入れ替わり、今では物販は歯抜けで、パチンコホールやスポーツ施設などで保っている状態です。立地も、敷地も、テナントも、レイアウトも良くないし、20年間保ったことのほうが不思議なくらいです。さらに、地方都市でも実態はファッションビルのような「SC」が、空きスペースになっている、という話を聞いています。こうしたSCは、大店立地法施行前にオープンした、間に合わせのSCで、すでに役割を終えているものです。ところがすべて一緒に語られているのです。時間の差を考慮せずに、平均でものを考えることの落とし穴がここにはあるように思うのです。

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NSCが成功するために必要な公式
アメリカの典型的なNSC

 SCには、2つのタイプがあります。一つはモール型であり、もう一つはストリップセンター型です。モール型は、お客の行き交う大通りを挟んでお店が並んでいるもので、この通りをモールと言います。モール型には、エンクローズド・モールとオープン・モールがあります。エンクローズド・モールは、一つの建物の中にモールがあるものです。一つの建物ですから屋根があって、エアー・コンデショニング(温度調整)が完備しています。オープン・モールは、反対に屋根がなく、エアー・コンも利きません。雨や風に晒された状態です。オープン・モールのパイオニアは、ロサンゼルス郊外にあるファッション・アイランドと言われています。ファッション・アイランドの建築デザイナーは、雨が少なく太陽光の多いカリフォルニアには、屋根など必要がないと語っていました。

 ストリップセンター型は、それぞれのお店が横に並んでいるものです。つまり、スーパーマーケット(SM)の横にドラッグストアがあって、その隣にアイスクリーム店がある、何店があるといった感じです。一つ一つのお店は露出しているので、それぞれ外からの出入り口が在って、店ごとに戸締まりの管理をしなければなりません。駐車場に面してお店が並んでいるケースがほとんどですが、ときおり駐車場が分かれているケースもあります。NSCは、このストリップセンター型の代表ですが、パワーセンター、アウトレットセンター、コンビニエンスセンターなどもほとんどこのタイプです。これらのSCに共通するのは、価格志向が強いということです。競争相手よりも少しでも安くしてお客の吸引力を強めなければならない、といったタイプです。そのために建築費の掛かるモール型ではなく、ストリップセンター型でなければならないのです。

 NSCと大型SCを売上げで見ると、前者は土・日とウィークデイとの差がさほど無いのに対して、後者は土・日に偏っていることです。つまり、NSCは日常生活必需品を扱い、住まいが近く来店頻度も高いので、お客が毎日期待できるのです。大型SCでは、そうはいきません。もちろん近所の人でNSCと同様な使い方をする人もいるでしょうが、衣料や住関係商品の多い大型SCは、近隣のお客だけでは成り立たないのです。お客が来店する限界距離を商圏といいますが、大型SCは車で30分、NSCは10分と言われています。

 売上高を公式で表すと、客数×客単価となります。これをさらに分解すると、客数は、絶対客数×来店頻度、客単価は、一品単価×買い上げ点数となります。絶対客数とは、個人個人のお客のことです。この個人がお店に何回来店するかが総客数ということです、同様に、一品単価とは、個々の商品の価格です。この商品をいくつ買い上げてくれるかが客単価です。NSCは、商圏が狭く、商圏人口が少ないので、来店頻度を高めなければ客数を増やすことはできません。また、一品単価が低いので買い上げ点数を増やさなければ客単価は上がりません。来店頻度を高める一番の武器は、「鮮度」であり、買い上げ点数を増やす一番の武器は、商圏内に存在する様々なニーズをカバーする「品そろえ」です。アメリカでは、「鮮度」は、ペリシャブル(腐りやすい)フードと言い、「品そろえ」は、アソートメント(分類)と言います。これが甘くなると強いNSCとはならないのですが、逆に弱いがゆえに商業集積に頼るというのが日本の現実ではないでしょうか。

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SCのなかでもNSCが最も多くなる理由
カインズモール常滑
 日本のショッピングセンター(SC)は、アメリカ小売業をモデルにして作られてきました。その1号店は、1948年にオハイオ州コロンバスに創られたタウン&カウントリーと言われています。創った人は、ドン・カストーという人で、そのSCの核店は、バラエティストア(VS)のクレスゲとGMSのJCペニー、それにスーパーマーケットのクローガーでした。VSのクレスゲは、その後ディスカウントストア(DS)のパイオニア企業となったKマートのことです。ミラクルマイルスの別名で呼ばれるようになるタウン&カントリーはその後大繁盛し、全米の注目を集めました。そして核店もナショナルチェーンに成長していきます。

 アメリカでは、現在4万5000カ所を越えるSCがあります。2004年のデータ(2007年からデータの取り方が変わっている)では、このうち62%がNSC,33%がコミュニティSC(CSC),4%がリージョナルSC(RSC),1%がスーパーリージョナルSC(SRSC)となっています。人間がもっともお金を使う毎日の生活に欠かせない分野を扱っているわけですから、NSCが多いのは当然の結果です。日本では、こうしたデータがありませんので数字を挙げることはできませんが、SMとドラッグストアが一緒に出店しているケースや敷地は違っても近くに出ているケースなども含めるとかなりの数のものがあるのではないかと思われます。もちろんこれらがすべて厳密な意味でNSCというわけではありませんが、同じような機能を担っていることは間違いないと思います。

 日本の場合、NSCの大きな問題はデベロッパーの不在です。最近、デベロッパーは増えていることは増えているのですが、大型SCの開発ばかりで、NSCのような小さな開発にはなかなか手を付けません。デベロッパーにとっては、小さなものをやるよりも大型SCの方が儲かるわけですから、やむ終えないことかもしれません。そこで地元の不動産屋やSMなどの企業が直接開発に関わるというケースが増えてしまうのです。その結果、テナントの保証金や共益費などでトラブルが多くなります。デベロッパーも兼ねる核店が、開発の負担をテナントに負わせてしまうのです。気持ちを一つにして動かなければならないSCで、こうしたトラブルは致命的です。NSCは成功しない、と言われるのは核店とテナントとの確執が大きいのではないかと思います。SCとしてスムースに運営していくためには、核店もテナントも平等の基準に従って運営されなければなりません。利害関係を持つものが主導権を持つのではなく、第3者のデベロッパーが必要なのです。

 SCのなかでもNSCの数が断然多くなるのは、生活必需品を扱っているというだけではありません。建築コストやオペレーション・コストが安いのです。つまり、投資コストが掛からないのです。大型SCの場合は、規模にもよりますが、大変な費用が掛かります。これを回収するためには、テナント料も高くしなければなりません。しかし、NSCでは、投資コストが安い分だけ、テナント料も安くできるのです。テナント側から見ると、コストが安くなった分だけ、価格競争力を強くすることができます。生活必需品で構成するNSCにとっては、強い価格競争力は命綱です。そして1円でも安く売るNSCは、当然お客も多くなり、NSC自体の評価も上がるのです。

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NSC(ネイバーフッドSC)とはどんなSCなのか?
ラスベガスのNSC

前回、ネイバーフッドSC(NSC)が注目されているという話を書きましたが、「NSCって一体何?」というご質問を頂きました。そこで、今回はもう少し細かく、丁寧にご説明したいと思います。まず、NSCの前にショッピングセンター(SC)とはどのようなものかをご説明しておきましょう。商店街と同じではないかと言う人がいますが、まったく違います。その理由は以下の通りです。

SCの必須条件の第1は、SCを計画し、運営するデベロッパー(開発者)がいて、計画的に出来ている商業集積であることです。商店街は、自然発生的に出来たもので、個々の店舗が独立して商売をしているのです。第2は、カー・ショッッピング(車での買物)に対応して広い駐車場を併設していることです。徒歩での買物に対応するだけではSCは生まれません。その意味では、SCはカー・ショッピングの申し子と言えます。商店街はと言えば、ほとんど駐車場を持ちません。あっても僅かなスペースか、少し離れていてショッピングには不便です。第3は、ある特定の買物については、そこで一度に済ますことができること(ワンストップショッピング)です。例えば、毎日の生活必需品とか日常生活用品などといった特定の買物です。商店街は、あちらこちら買い回って、さらに無いと他の商店街や都心に出掛けて買物をしなければなりません。第4は、安心、安全の場所であると言うことです。デベロッパーが居るので、故障があればすぐ修理されますし、基本的に買物客だけなので車や怪しい人間からも守られています。この条件を満たしていなければSCとは言えないということです。

NSCは、SCの条件を満たした上に、次のような特徴を持っています。第1に、生活必需品の買物であると言うことです。そこへ行けば生きていくのに必要なものは一度に買うことができます。第2は、来店頻度が高いことです。食料品のような生活必需品ですから、平均で週に2.5回の買物と言われています。ちなみに他の大型SCでは、月に2回とか1回といった頻度になります。第3は、商圏が狭いということです。生活必需品ですから、お客にとっては出来るだけ近くに在った方が便利です。さらに食料品は、重いものがたくさんあります。週のうち何度も買いに出なければならないので、近くに限られてくるのです。もちろん、競合店が少ないときにはそれだけ商圏は広くなります。それでも比較的近いところにお客は流れていくのです。

NSCは、生活必需品を扱いますので、核店は食品を売るスーパーマーケットと生活必需雑貨を売るバラエティストアやドラッグストアとなります。類似のものとしては、ディスカウントストア、ホームセンターなどが挙げられます。商品分野が限られているので、大型のSCよりテナントは少なくなります。それでもアメリカでは10~50店ありますから日本でNSCと称しているものより、ずっと充実しています。駐車スペースも100~200台が止められる程度でさほど広くありません。これは滞店時間(SCに居る時間)と大きく関係します。大型SCでは、ゆっくりと楽しみながら買物や遊びをしますが、NSCでは、できるだけ早く買物をすませることが重要になります。毎日の買物は、苦痛でもあり、なるべく時間を掛けないですませたいとお客は思うのです。専門的な用語ではショートタイム・ショッピングと言いますが、NSCはまさにこれに相応しいSCなのです。従って、滞店時間は短くなり、駐車時間も短くなり、駐車スペースは少なくても良いということになるのです。そして当然敷地面積は狭くなります。

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